インフルエンザワクチンはいつも打ちません。たまたまワクチン打った年に限ってインフルエンザにかかって,しかも40℃も熱が出たんですよ!じゃあ打たなくても大丈夫っていうことじゃないですか!…そんな話をされる方が結構いらっしゃいます。
インフルエンザワクチンには,残念ながらインフルエンザを100%予防する効果はありません。インフルエンザワクチンによるインフルエンザ予防効果は60〜70%程度と言われています。また年齢が下がるほどワクチン接種による予防効果も下がります。
ではなぜインフルエンザワクチンを打った方がよいのか?
インフルエンザにかかると通常高熱が続きます。3〜4日程度でそろそろよくなってきたかな,と思われるころに再度発熱が見られることがあります(山が2回あるという意味で二峰性の発熱という言い方をします)。ワクチンを受けられたのに残念ながらインフルエンザにかかってしまった方も,最初は39℃を超える高熱の方が多くいらっしゃいます。ただ,圧倒的に二峰性の発熱の二つ目の山が来ることが少ないのです。
また,インフルエンザにかかってしまった時に抗インフルエンザ治療薬をどんなに早期に使用してもインフルエンザ脳症を防ぐことも軽くすることもできません。第一にインフルエンザにかからないようにすること,かかっても軽く済むようにすること,つまりインフルエンザワクチンを打つことが唯一の予防法なのです。
インフルエンザワクチンを接種する時よく受けるご質問に,これはAだけなんでしょ?Bには効かないんでしょ?といったものがあります。現在日本で製造され,検定に合格して使用されているインフルエンザワクチンには,単純にA型とB型というだけでなく,A2種類,B2種類の型が含まれています。
インフルエンザA型の流行が現在まだ多くの地域で発生していますが,少しずつB型の発症も見られています。
AにかかったからBにはかからない,ということはありませんので,もしAにはかかってしまったけれど,Bにはかかっていないという方は,B型にかかっても軽く済むようにワクチンを受けられることをお勧めします。
冒頭の話に戻りますと…「インフルエンザワクチンを受けたから今年は大丈夫!」と油断してはいなかったでしょうか。「今年はワクチン受けなかったから気をつけなくちゃ」と,マスクをしたり手洗いうがいをしっかりするようにより心がけておられたのではないでしょうか。
ワクチンが効かないかどうかはワクチンの効果そのものへの疑問や心の持ちようも大きく影響しているように思われます。
受験生は風邪を引かないとよく言いますが,本当に気が張っている時には,実際に免疫グロブリンという抗体の一種IgAが体内で増加して免疫力が上がっているということも研究で報告されており,あながち間違ってはいないのです。
気が張っている時は大丈夫ですが,ホッとして緊張が解けると風邪を引いたりして体調を崩しやすくなります。常に緊張している必要はありませんが,ふと気が緩んだ時に体調を崩すことがないように,日頃から注意したいものです。
(HP編集担当)