高血圧とは
血圧の高い状態が長年にわたって継続し、血管の内壁に過度の負担が生じる状態です。健康な人の血圧は、家庭などで日常的に測定した場合(家庭血圧)の最大血圧が135㎜Hg未満、最小血圧が85㎜Hg未満。診察室で測定する場合は、緊張感などで少し高めになる傾向がありますが、それでも最大血圧が140㎜Hg未満、最小血圧が90㎜Hg未満です。高血圧は、このいずれかが高くなった状態です。(家庭血圧を優先します)。
初期段階では自覚症状が見られません
血圧が高くなっても、初期の段階では特に自覚症状が出現しません。しかし、その間にも血管の内側は傷ついていきます。傷によって血管内が固くなって柔軟性を失った状態(動脈硬化)となり、狭心症や心筋梗塞(冠動脈が詰まる病気)、脳梗塞(脳の血管が詰まる病気)、脳出血(脳の血管が破れる病気)に罹患しやすくなるのです。
自覚症状がないことも多いため、ついつい放置しがちですが、動脈硬化や心肥大によって重大疾患のリスクが増加します。健康診断などで高血圧が分かったときは、お早めに医療機関を受診するようにして下さい。
高血圧の予防対策
- 塩分の摂取量を減らしましょう
- 野菜や果物、海藻類、豆類を摂取しましょう(※)
- コレステロールや飽和脂肪酸は控えるようにします
- カルシウム不足に気を付けましょう
- 肥満防止に努めましょう(適正体重を維持します)
- 適度な運動習慣を身につけましょう
- お酒の飲み過ぎ注意しましょう
- 禁煙しましょう(受動喫煙にも気を付けましょう)
- 入浴の際は、脱衣所や浴室を温めておきましょう
- 真夏などはこまめに水分補給しましょう
など
※食事内容の改善にあたっては、果物に含まれる糖分やカリウムなど、一定の制限が必要となることもあります。詳しくは当クリニックまでお気軽にご相談ください。
高血圧の治療について
血圧を適正値にまで引き下げる際には、食事療法が基本となります。特に、塩分摂取は血管を硬化させるなど悪影響を及ぼしますので、減塩に努めます。一日の食塩摂取量を6g以内まで減らすことが望ましいのですが、一般的な外食メニューの場合、1度の食事だけで6g以上の塩分が含まれているものも少なくありません。
そう考えると、いきなり達成するのは厳しい数値のようにも思えますが、高くなってしまった血圧を正常化するには必要な取り組みです。医師や管理栄養士の指導を受け、「利尿作用のある野菜や果物などをバランスよく摂取して塩分の排出を促す」などの対策を行いましょう。
さらに、適度な運動を継続的に行い、適正体重を維持するようにします。一日あたり30~60分の有酸素運動。これを週3回以上おこなうと効果が上がると言われています。但し、高血圧の状態は人によって異なります。運動の効果も千差万別ですし、血圧の状況によっては運動療法プログラムの修正が必要となります。ご自身で判断するのではなく、医師や健康運動指導士から適切なアドバイスを受けて実践するようにして下さい。
必要に応じて薬物療法も
食事療法や運動療法で十分な改善が見られないときは、薬物療法を併用します。具体的には、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、カルシウム拮抗薬、利尿薬、β遮断薬などが効果的です。